
その時にしか
味わえない瞬間を、
日々味わう。

酒造りも紙づくりも
自然との対話から生まれる
小林 康生
手すき和紙職人
父の代まで、紙づくりは畑仕事のない冬場だけにやる仕事で、あくまでも副業。紙屋としては5代目ですが、私は紙づくりだけで生活できるプロになりたいと思ってこの仕事をはじめました。以前は、とにかく使い手に喜んでもらう紙を追求したこともありましたが、今は紙の素材本来の可能性を引き出す紙づくりを心がけています。
ただ残念なことに、今はもう手すきの紙を使うという時代ではありません。今日、和紙として売られているものも、機械によって作られているだけでなく、パルプを混ぜたり、様々な薬剤による処理を行った
ただ残念なことに、今はもう手すきの紙を使うという時代ではありません。今日、和紙として売られているものも、機械によって作られているだけでなく、パルプを混ぜたり、様々な薬剤による処理を行った
ものがほとんどで、伝統的な技法でつくられたものは圧倒的に少なくなっているのが実情です。最近は、その風合いや寿命の長さにも注目が集まり、和紙を積極的に使おうという声も聞くようになりましたが、機械による処理に向いていないこの素材は、客観的にみて効率のよい物とはいえません。朝日酒造さんが商品のラベルに和紙を用いてからもう30年以上たちますが、これは自然と折り合いをつける覚悟がないとできないことだと思います。
父の代まで、紙づくりは畑仕事のない冬場だけにやる仕事で、あくまでも副業。紙屋としては5代目ですが、私は紙づくりだけで生活できるプロになりたいと思ってこの仕事をはじめました。以前は、とにかく使い手に喜んでもらう紙を追求したこともありましたが、今は紙の素材本来の可能性を引き出す紙づくりを心がけています。
ただ残念なことに、今はもう手すきの紙を使うという時代ではありません。今日、和紙として売られているものも、機械によって作られているだけでなく、パルプを混ぜたり、様々な薬剤による処理を行ったものがほとんどで、伝統的な技法でつくられたものは圧倒的に少なくなっているのが実情です。最近は、その風合いや寿命の長さにも注目が集まり、和紙を積極的に使おうという声も聞くようになりましたが、機械による処理に向いていないこの素材は、客観的にみて効率のよい物とはいえません。朝日酒造さんが商品のラベルに和紙を用いてからもう30年以上たちますが、これは自然と折り合いをつける覚悟がないとできないことだと思います。
ただ残念なことに、今はもう手すきの紙を使うという時代ではありません。今日、和紙として売られているものも、機械によって作られているだけでなく、パルプを混ぜたり、様々な薬剤による処理を行ったものがほとんどで、伝統的な技法でつくられたものは圧倒的に少なくなっているのが実情です。最近は、その風合いや寿命の長さにも注目が集まり、和紙を積極的に使おうという声も聞くようになりましたが、機械による処理に向いていないこの素材は、客観的にみて効率のよい物とはいえません。朝日酒造さんが商品のラベルに和紙を用いてからもう30年以上たちますが、これは自然と折り合いをつける覚悟がないとできないことだと思います。

私たちが幸せなのは、商品を作るだけでなく、畑、田んぼ、土といった環境を育てる段階にも関われるところ。酒造りも紙づくりも自然素材を扱う職業ですから、マニュアルがあれば良いというものではなく、自然との会話が必要不可欠です。この地で生まれ、自然に育まれた記憶が体に蓄積する。その蓄積が今の生活や仕事に活かされているのだと日々感じています。私はこの場所から見える景色が大好きです。ブナ、コシアブラ、ウワミズザクラ、スギ。たくさんの植物が、光と影を織りなし、それぞれの瞬間だけの表情を見せる。そのときにしか味わえない瞬間を日々味わうことで、自分が自然と一体になった
ように感じることができるのです。
「継」はハレの日に飲むお酒だから、自然そのままの良さを出すというより、少し気取ったお化粧のような演出が必要ですよね。今回は、 紙の原料となる楮を雪でさらしたり、繊維がより細く積み重なるよう工夫して、素朴でかわいい紙というよりは、美人の紙を目指しました。清少納言は陸奥紙をみているだけで心が落ち着くと言いましたが、私も伝統的な技法でつくられた本物の和紙には、心をなごませる力があると信じています。このラベルから天然の白、ふくよかな白を感じてもらえれば嬉しいですね。
「継」はハレの日に飲むお酒だから、自然そのままの良さを出すというより、少し気取ったお化粧のような演出が必要ですよね。今回は、 紙の原料となる楮を雪でさらしたり、繊維がより細く積み重なるよう工夫して、素朴でかわいい紙というよりは、美人の紙を目指しました。清少納言は陸奥紙をみているだけで心が落ち着くと言いましたが、私も伝統的な技法でつくられた本物の和紙には、心をなごませる力があると信じています。このラベルから天然の白、ふくよかな白を感じてもらえれば嬉しいですね。
私たちが幸せなのは、商品を作るだけでなく、畑、田んぼ、土といった環境を育てる段階にも関われるところ。酒造りも紙づくりも自然素材を扱う職業ですから、マニュアルがあれば良いというものではなく、自然との会話が必要不可欠です。この地で生まれ、自然に育まれた記憶が体に蓄積する。その蓄積が今の生活や仕事に活かされているのだと日々感じています。私はこの場所から見える景色が大好きです。ブナ、コシアブラ、ウワミズザクラ、スギ。たくさんの植物が、光と影を織りなし、それぞれの瞬間だけの表情を見せる。そのときにしか味わえない瞬間を日々味わうことで、自分が自然と一体になったように感じることができるのです。
「継」はハレの日に飲むお酒だから、自然そのままの良さを出すというより、少し気取ったお化粧のような演出が必要ですよね。今回は、 紙の原料となる楮を雪でさらしたり、繊維がより細く積み重なるよう工夫して、素朴でかわいい紙というよりは、美人の紙を目指しました。清少納言は陸奥紙をみているだけで心が落ち着くと言いましたが、私も伝統的な技法でつくられた本物の和紙には、心をなごませる力があると信じています。このラベルから天然の白、ふくよかな白を感じてもらえれば嬉しいですね。
「継」はハレの日に飲むお酒だから、自然そのままの良さを出すというより、少し気取ったお化粧のような演出が必要ですよね。今回は、 紙の原料となる楮を雪でさらしたり、繊維がより細く積み重なるよう工夫して、素朴でかわいい紙というよりは、美人の紙を目指しました。清少納言は陸奥紙をみているだけで心が落ち着くと言いましたが、私も伝統的な技法でつくられた本物の和紙には、心をなごませる力があると信じています。このラベルから天然の白、ふくよかな白を感じてもらえれば嬉しいですね。
